どうにでもなれ、と思って裸足で夜の道路を歩いた。
冷たい。そしてどこか痛い。そして、切ない。

町外れの山奥、人気の無い道路を私は一人歩く。
歩く、歩く、歩く。
どこまで行こう?分からない。
自分が、何故歩いているのかも分からない。ただ、歩こうと思っただけだ。

足から冷えが伝わってきた、もう引き返そうか。
…いや、まだ、歩こう。そんな気分だから。

月が僅かに道路を照らす。私はパジャマのままだ。
たまに、車が横を通り過ぎる。
変質者として通報されないだろうか。不安だ。
でも、この状況で誰かが私を変質者として通報しなかったら、私はその人の神経を疑う。
でも、通報されても困るのだ。


「とぼとぼ」という表現が有っているのだろうか。
「ひたひた」か、「ぺたぺた」と言うような歩き方だ。
力が抜けてきた。それでも歩かなければ。
月が、星が、私を招いている。ほうら、きっと夜の鳥も。

歩く、歩く、歩く。
私は歩く。朝陽から逃げるように私は歩く歩く、逃げる。


朝陽よ、どうか私を照らさないで。
朝陽よ、どうか何もかも照らさないで、覚まさないで。

私は逃げる。朝陽から逃げる。




私は、逃げたいのか。


ふ・と、私はこの気持ちに名前を付けることができた、瞬間、安心した。






「…帰ろう」




朝陽が、朝陽が昇る。始まる。もう、どうにでもなってしまえ。